2022-03-10
福徳岡ノ場火山2021年8月噴火に伴う軽石ラフトの漂流
(2)噴火に伴って放出された軽石ラフトの漂流
写真1.奄美群島の沖合に到達した軽石ラフトの筋(2021年10月16日喜界島上空にて撮影)
軽石は淡色で多孔質の火山噴出物です。内部に小さな気泡がたくさんあるため比重が海水よりも小さくなり、筏(ラフト)のように海面上に長期間浮いて海流や風によって漂流します。この噴火によって発生した軽石ラフトは黒潮反流(※)にのって西に1000 km以上流されて、昨年10月以降、大東諸島や琉球諸島などの南西諸島の島々に続々と漂着しました。一部の軽石はその後、黒潮にのって大きくUターンして本州南岸沿いに東向きに流されて、今年1月以降、伊豆小笠原諸島に漂着しています。
このような海底火山噴火に伴って大量の軽石が海面上に放出され、それがその後ラフトとなって漂流、沿岸に漂着する現象は過去にも起こっています。例えば日本列島周辺では1924年に八重山諸島西表島の北東沖に位置する海底火山が噴火し、琉球諸島沿岸に大量の軽石が漂着しました。この噴火の軽石はその後、黒潮と対馬海流にのって北上しながら日本列島沿岸に漂着し、最終的には北海道まで到達したことが報告されています。当時は日本列島周辺の海流がどのように流れているかは未解明でしたが、この軽石漂流がその理解に大きく貢献しました。今回の福徳岡ノ場2021年噴火では沿岸各地における軽石漂着のタイミングがSNSを通じて共有されて、市民参加型の調査としても新しい試みとなっています。
※黒潮反流……黒潮の沖側に流れる黒潮の流れとは逆に西もしくは南西に向かう海流のこと。