2022-03-10
福徳岡ノ場火山2021年8月噴火に伴う軽石ラフトの漂流
(3)南西諸島への軽石の漂着とその影響
写真2.鹿児島県喜界島志戸桶ビーチに漂着し、入り江を埋め尽くした軽石(2021年10月16日撮影)
奄美群島や沖縄諸島に漂着した軽石は、海面や河口を塞いで滞留し、地元経済や沿岸生態系に様々な影響を与えています。経済的な影響としては、特に船のエンジン冷却水フィルターに軽石が詰まり、フェリーの運航や漁船の操業に大きな支障が出ました。また養殖いけす内の魚が軽石を誤食することで死んでしまった被害も報告されています。また長期間軽石が海面や河口を覆うことで沿岸域に生息する魚類、甲殻類、貝類をはじめとする水生動物への影響も懸念されています。
また一方で軽石は海流に乗って長距離を移動するため、島嶼間における生物拡散の重要な「乗り物」となっている可能性も指摘されています。福徳岡ノ場2021年噴火に伴う軽石の放出・漂流・漂着は地球科学的な関心だけではなく、海底火山噴火が生物に与える影響を解明する上でも貴重な研究機会となっているのです。