2023-01-26
最新研究が明らかにした日本列島の小型サンショウウオの多様性
(2)どこまで増える?サンショウウオ属
図2.(左上)2019年にカスミサンショウウオから分割・新種記載されたセトウチサンショウウオ
H. setouchi、(右上)2022年に新種記載されたイワキサンショウウオ、(左下)2022年にイシヅチサンショウウオ
H. hiroseiから分割・新種記載されたナンヨサンショウウオ
H. oni、(右下)2017年に新種記載されたミカワサンショウウオ
H. mikawaensis。
サンショウウオ属
Hynobiusは日本の小型サンショウウオの多様性の大部分(40種)を占める、最大のグループです。本属の種数は2000年ごろに比べてなんと20種以上増加しています。中でも最も大きく分類が変化したのは、長く「カスミサンショウウオ」として扱われてきた種です。本種は愛知県以西に広く分布すると考えられてきましたが、2019年に一挙に9種に分割されました。その後若干の分類の変更があり、研究者間でも見解に違いがあるものの、今では少なくとも10種として扱われています。
2022年にも、京都大学と私の研究グループは関東から東北にかけて分布するトウキョウサンショウウオ
H. tokyoensisの北部の集団を遺伝的・形態的な比較に基づいて
イワキサンショウウオH. sengokuiとして分割し、新種記載しました。近年の急激な種数増加は、このように1種だと思われてきた種が、研究の進展により複数の種に分割されることによります。かつては地域変異だと考えられてきた種内の形態的、生態的な違いが、実は種の違いであったことが研究により判明してきたのです。