国立科学博物館では、「日本列島の自然史科学的総合研究」というテーマで、長期にわたるプロジェクトを行ってきました。 大学生のための自然史講座は、そのプロジェクト研究の成果に加え、近年の生物多様性研究の知見を交えながら日本列島の自然、自然史について様々な角度から体系的に理解できる講座です。
対 象 | 主に大学生・大学院生・専門学校生(一般の方も受講いただけます) |
実施方法 | オンライン(ライブ型)講義(Zoom使用予定) 及び オンデマンド配信(GoogleDrive使用予定) ※録画した講義を後日、オンデマンド配信します。 配信期間:初回講義後~9月末まで(予定) ※オンデマンド配信では質疑応答は行えません。 |
開講期間 | 令和5年5月19日、6月2日、6月16日、7月7日、7月21日、8月4日、8月18日、9月1日、9月15日 第1・3金曜 18:00~19:30 |
募集人数 | 100名程度 |
受 講 料 | 18,900円(国立科学博物館 大学パートナーシップ入会校の学生は9,500円) |
第1回 5月19日(金) |
副館長 真鍋 真 【自然史とは何か?】 自然史を意識することで、自分をちょっと変えてみよう! |
自然史は"natural history"の訳なのですが、博物学、自然誌とも訳されるように、その対象は太古の歴史だけではありません。現代の生物とその世界を理解するためには、これまでのプロセスを手がかりにしなくてはなりません。現在を懸命に理解していくことを通じて、私たちは近未来を考えられるようになるのです。 |
第2回 6月2日(金) |
陸生無脊椎動物研究グループ 研究員 奥村 賢一 【日本の動物の多様性Ⅰ】 クモ類分布からみた日本の島々 |
多くの離島を有するとともに本土部分も島国の日本は、生物多様性の高い地域として広く知られています。中でも移動分散能力の低い生物では島ごとに固有種が存在するのに加え、地理的隔離の状況により大陸との関係性も残っています。本講義では、徘徊性クモ類の多様性や、生息状況からみた日本列島の生物地理学的特異性について紹介します。 |
第3回 6月16日(金) |
動物研究部長 藤田 敏彦 【日本の動物の多様性Ⅱ】 海の動物の多様性と系統分類 |
動物は30を超える動物門に分類されていますが、海にはそのほとんどが分布しており、陸域や淡水域と比較しても、海域は動物の多様性の宝庫になっています。本講義では、日本近海に見られる多様な海生動物を紹介し、それらの系統分類を考えることにより、多様な動物がどのような進化によって生じたのかを概説します。 |
第4回 7月7日(金) |
環境変動史研究グループ 研究主幹 久保田 好美 【日本列島の生い立ち】 新生代の気候・海洋変動 |
気候変動は、時間スケールによってさまざまな要因が重なって起こります。白亜紀末以降は、大陸配置の変化によって地球は徐々に寒冷化していき、過去80万年間は、氷期間氷期が繰り返し起こりました。本講義では、新生代の気候変動の要因について整理し、日本を含めたアジアの気候・海洋環境の成り立ちについて解説します。 |
第5回 7月21日(金) |
人類史研究グループ 研究主幹 神澤 秀明 |
私たちが住む日本列島には、いつ、どこから、どのようにして人々がきたのでしょうか。また、どのような変化を経て、現代の日本人になったのでしょう。本講義では、遺跡から出土する人骨の形態や考古遺物の証拠に加え、近年盛んに行われているDNA研究から復元される、日本人の起源と成立について概説します。 |
第6回 8月4日(金) |
多様性解析・保全グループ グループ長 遊川 知久 【日本の植物の多様性Ⅰ】 なぜ日本のランは希少になったのか? |
ラン科は、日本でもっとも多くの種が自生する植物の科のひとつです。また、他の科と比べて絶滅危惧種の数がずばぬけて多い反面、固有種は少ないという特徴があります。本講義では、ラン科植物がこうしたユニークな多様性を生み出したことに、日本列島の環境と地理的な特性がどうかかわったか紹介します。 |
第7回 8月18日(金) |
生命進化史研究グループ 研究主幹 木村 由莉 【日本列島の生い立ち:哺乳類化石】 哺乳類の進化史 |
大陸移動や気候変動といった地質学的なイベントは、哺乳類の進化にどのような影響をもたらしたのでしょうか。また哺乳類はダイナミックに変化する生態系にどのように適応してきたのでしょうか。本講義では、哺乳類の進化史を俯瞰し、島国となった日本で発見されている哺乳類化石について新知見を交えて解説します。 |
第8回 9月1日(金) |
理化学グループ 研究主幹 室谷 智子 【日本周辺の自然現象】 日本と地震と火山と津波 |
日本列島は地震・火山・津波・台風・豪雨など、多くの自然現象による災害に見舞われる災害列島です。その一方で、私たちは地震や火山、豪雨からの恩恵も受けています。本講義では、なぜ日本周辺では地震・火山・津波が多いのか、また、これまで日本が経験してきた忘れてはいけない自然現象や大規模災害などについて紹介します。 |
第9回 9月15日(金) |
菌類・藻類研究グループ グループ長 大村 嘉人 【日本の植物の多様性Ⅱ/まとめ】 共生生物「地衣類」の多様性 |
地衣類は菌類が藻類と共生して一つの体を作っている複合体であり、南極や砂漠などの極限環境にまで分布を広げています。知られている子嚢菌の約4割や担子菌の一部が地衣類であり、菌類の進化を考える上で「地衣化」は重要な戦略だと考えられています。本講義では、地衣類の多様性およびその進化について概要を紹介します。 |
所属等は令和5年3月現在のものです
本講座を受講するに当たって、注意事項がございます。
下記の注意事項をお読みいただき、あらかじめご承諾いただいた上で本講座にお申込みください。
応募に係る注意事項(PDF:136KB)
下記の受講申込み専用ページからお申込み下さい。(国立科学博物館ウェブサイト内「イベントカレンダー」ページ)
受講申込み専用ページ
*いただいた個人情報は、本講座に付随する目的にのみ使用いたします。
申込み締め切り:令和5年4月24日(月)12時 ※受付終了受講申込者には、4月28日(金)までに、受講の可否をメールでお知らせします。
応募者多数の場合には、「国立科学博物館 大学パートナーシップ」入会校の学生を優先させていただきます。あらかじめご了承下さい。