2008-02-01
火山国日本−新たな予報・警報はじまる− (協力:地学研究部 佐野貴司)
火山現象予\報・警報はじまる
平成19年12月,気象業務に関わる法律が改正され,気象庁が発する防災情報に新たにふたつの予報・警報が追加されました。ひとつが緊急地震速報としても知られる地震動予報および警報(※1),そしてもう一つが火山現象予報,および警報です。これにより地震や火山噴火の情報は台風や津波等と同レベルの扱いとなりました。
日本には全国合わせて108もの活火山(※2)があります。2004年の噴火が記憶に新しい群馬県・長野県の浅間山,2000年に噴火し全島避難を余儀なくされた東京都の三宅島,同じく2000年に噴火し,それを含めて過去100年に4度の噴火が記録された北海道の有珠山などをはじめ,長崎県の雲仙普賢岳,東京都の三原山,カルデラで知られる熊本県の阿蘇山,今も噴煙を噴き上げている鹿児島県の桜島などがそうです。また,江戸時代・宝永年間の最後の噴火から300年を迎えた富士山も活火山です。
火山現象予報・警報は,これら108の活火山全てを対象として発表されます。発表される予報・警報は火山付近の居住地域に危険を知らせる「噴火警報」,火口や火口から居住地域付近までの区域に対する「火口周辺警報」,火口内などの状況を知らせる「噴火予報」の3種とされ,これまで出されていた「緊急火山情報」「臨時火山情報」は廃止となりました。
※1 震源からある程度離れた地点に対して,地震波の到達予測時間と予想される震度を伝えるものです。
地震の揺れには大きく分けて,振幅はそれほど大きくないものの伝達速度の速い縦波(P波)がもたらす初期微動と,伝達速度は遅いものの揺れは大きい横波(S波)がもたらす主要動があります。震源ではふたつが同時に発生,震源から近い場所ではふたつの到達時間にもほとんど差はありません。しかし,ある程度離れた場所であればふたつの揺れの到達時間には数秒から数十秒の違いが出てきます。
地震動警報はこの地震の性質を利用して,震源に近い地点での初期微動の情報に基づき,各地点への主要動の到達時刻を予測,発表するものです。
※2 気象庁及び火山予知連絡会では,「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と定義しています。
かつて火山の分類は,常に若しくは頻繁に噴火活動の見られる火山を活火山,噴火活動の記録はあるものの今では噴火が見られない火山を休火山,噴火活動の記録のない火山を死火山と3つに分類してきました。しかし死火山とされてきた筈の火山が近年になって突然噴火するなどしたため基準が揺らぎ,2003年に現在の定義に改められています。
図:プレート境界と気象庁が定義する108の活火山
※ 名称が表示されている火山は気象庁が警戒レベルを導入した16の火山(詳細は次頁)