2023-01-26
最新研究が明らかにした日本列島の小型サンショウウオの多様性
(1)日本は「小型サンショウウオ」の宝庫
図1.日本のサンショウウオ科の代表的な2属。(左)サンショウウオ属(カスミサンショウウオ
Hynobius nebulosus)、(右)ハコネサンショウウオ属(ハコネサンショウウオ
Onychodactylus japonicus)。
私は両生類、特にサンショウウオの分類を専門に研究をおこなっています。日本列島はサンショウウオ科に属する全長15cmほどの「小型サンショウウオ」と呼ばれるグループの多様性と固有性が高い地域として知られています。
小型サンショウウオは陸生で、普段は森林の湿った落ち葉や倒木の下などに潜んで暮らし、繁殖期にだけ水場に集まって産卵します。そのためあまり目につくこともなく馴染みのない生き物かもしれませんが、里山周辺のため池や水田の水路から山地渓流、高山帯の湿原まで幅広い環境に多様な種が生息しています。日本の小型サンショウウオは3属48種(2022年12月現在)にのぼりますが、そのうちの47種が日本列島の固有種です。しかもその半数近くの種がこの10年ほどの間に新種として発表されたもので、いま日本のサンショウウオの分類は激動の時代を迎えているのです。