2025-01-23

マイクロCTが解き明かす昆虫と昆虫がつくるものの3次元的構造


甲虫と虫こぶの3次元的構造の多様性

図1 驚くほど変化に富んだ形状をもつ甲虫と虫こぶ

昆虫は約100万種が知られ、未知の種も含めると約500万種が存在すると推定されています。その体のつくりはまさに多種多様で、脚が6本という基本的な形は保ちながらも、昆虫の種ごとに驚くほど変化に富んでいます。さらに、昆虫がつくる巣も、単純な穴のようなものから、複雑に発達した芸術作品のようなものまで、じつにさまざまです。

そんな昆虫と昆虫がつくるものの構造を3次元的に捉え、その多様性と機能を理解するための研究が国立科学博物館で行われています。対象としたのは「甲虫」と「虫こぶ」です。

「甲虫」は、昆虫がもつ2対の翅のうちの1対を甲羅のように硬く変化させ、外敵や外環境への適応力を飛躍的に高めることなどで繁栄した昆虫で、昆虫の中でも最大の多様性を誇っています。一方「虫こぶ」は、植物食性の昆虫が植物の一部を隠れ家や食物として利用できるよう変形させた特殊な巣で、その複雑な形状には虫こぶの中にすむ昆虫を外敵や外環境の変化から守るための機能があると考えられています。