3.全生物の分子系統と分類の統合研究 【第1期:平成18〜20年度】
本プロジェクトは、標本解析型の分類学的研究と分子系統学的研究を統合し、新しい視点に立った分類体系を全生物群にまたがって構築することを目的として、平成18年度より立ち上げた新しい計画である。3年計画の中間年に当たる平成19年度は、研究分担者が研究対象とする個別生物群の分子系統解析と分類・地理解析の統合研究を行い、分子系統解析を平成18年度に続き一層進展させることに重点を置いた。研究は新宿分館(主として動物、人類を対象)と筑波地区(主として植物、藻類、菌類)で行った。各成果を中間報告会(平成19年11月)で発表した。また、成果を「分子生物多様性研究資料センター」の事業と密接に関連づけて、DNA資料の収集保管、証拠標本の保存、DNAデータの作成と蓄積を進めた。
平成19年度に得られた成果は次のとおりである。
霊長類・クジラ類・鳥類・軟体動物・昆虫類・線虫類を含む動物、ユキノシタ科など数科の被子植物、ソテツ類(裸子植物)、シダ植物数科、コケ植物、シアノバクテリア類など多様な生物群約330種を対象にして、CO1遺伝子、16SrRNA他のミトコンドリアDNA、matK、rbcL遺伝子他の葉緑体DNA、核DNA等を解析した。収集した1300以上のサンプルデータを分子生物多様性研究資料センターに登録した。得られた分子系統と形態分類・形態進化を各生物群で比較し、系統地理、系統関係、形態進化、社会構造などに関してこれまで個別研究では解明が困難であった課題について解析を行い、新しい知見を得た。