2.日本列島のレアメタルを含む鉱物の調査研究と年代学への応用 【第1期:平成18〜22年度】
平成19年度は、主に砂金に関する分布調査とその化学組成の調査をおこなった。調査地域は、沖縄の久米島、九州の金山川(川内川支流・鹿児島県)、横山川・星野川(矢部川支流・福岡県)、菊池川支流(熊本県)、北陸の足羽川(福井県)、犀川(石川県、神通川(富山県)、佐渡三内川(新潟県)、中部地方の津具川(愛知県)、千曲川上流(長野県)、多摩川上流(山梨県)、関東地方の河内川(神奈川県)、多摩川及び秋川(東京都)、荒川(埼玉県)、南牧川(群馬県)、大沢川(久慈川の支流・茨城県)、東北地方の寒河江川(山形県)、小金沢及び涌谷(宮城県)、乙部川及び赤沢川(岩手県)である。そのほか、高知県足摺岬付近に露出する特殊なアルカリ火山岩脈中から自然金のほか、希土類元素、タングステン、トリウムなどを含む鉱物を確認した。
ウラン、トリウム、鉛の分析から年代を求める方法では、関東地域から東北地域の50資料の年代が求められた。これらの年代は、今までの年代値とほぼ同じ範囲にあるものが多くあるが、閃ウラン鉱では誤差を1Ma(100万年)に抑えることができ、それぞれの地域別に年代幅が限られていることがより一層判明した。また、同じ元素の同位体を使う年代測定法であるSHRIMPにより、今までにジュラ紀と考えられていた三波川変成帯の堆積年代が、白亜紀になることが判明した。これは、四万十帯の年代と同じであり、現在の日本列島の形成史を大きく考え直さなければならない重要な結果である。
平成20年度の特別展のため、金に関する資料の借用調査もおこなった。主な施設は、鹿児島県(菱刈鉱山・鹿児島大学総合博物館・ミュージアム知覧)、奈良県(橿原考古博物館・奈良文化財研究所・奈良国立博物館)、京都府(京都府教育委員会・桃山城跡)、滋賀県(安土文化財研究所)、石川県(金箔協会)、新潟県(ゴールデン佐渡・相川博物館・佐渡博物館・新潟県万代橋美術館・上越市博物館)、長野県(信州ゴールデンキャッスル)、山梨県(山梨県立博物館),千葉県(合同資源株式会社)、東京都(東京国立博物館・貨幣博物館・東大経済学部)、埼玉県(埋蔵文化財センター)である。